「りっくんって、昔から忘れっぽかったんだよね」
愕然とするあたしをよそに、梓ちゃんは言葉を続ける。
「この前なんて、ベルトも忘れて行ったんだから」
……ベルト。
それは、疑惑が確信に変わった瞬間だった。
…梓ちゃん。
まさか、陸とつきあってるの……?」
もう既に、そうゆう関係だっていうこと─?
「じゃあ、それ渡したから帰るね」
くるっと背を向け、梓ちゃんは背中まで伸びた髪を揺らしながら去っていった。
……ねぇ、どうして?
陸、あたしは陸が分からないよ。
陸はもう、あたしのこと嫌いになっちゃった?



