──カチャ。 おそるおそる、ドアを開ける。 そこには、数週間ぶりに見る、梓ちゃんの姿があった。 「休みなのにごめんね。…りっくんは?」 「……バイトみたい」 「そっかぁ。どうしようかな……」 困ったように眉を下げる梓ちゃん。 「何かあったの?」 「うん。これ、あたしの家に忘れてたから──…」 そう言ってあたしの前に差し出したモノ。 「……っ」 それを見て、思わず言葉を失った。 どうして…? なんで、梓ちゃんが陸の制服のネクタイを持ってるの……?