静まり返ったリビングに響く、チャイムの音。 お母さん、忘れ物でもしたのかな? そう思いながら、急ぎ足で玄関へと向かう。 「はい?」 ……。 返答は無い。 不審に思って、覗き穴に近づこうとすると…。 「…真弥ちゃん。あたし」 ドアの向こうから聞こえてきた声に、思わず息を飲んだ。 「梓…ちゃん?」 どうして、梓ちゃんが…。 「そう。渡したいものがあって来たの」 渡したいもの……?