───── ─── 「大丈夫?中まで付いていこうか?」 「…いえ、へーきです」 結局千明さんは、タクシーであたしを家まで送り届けてくれた。 焦点が定まらないあたしの肩を支えながら、門をあける。 「ご家族はいる?」 「いえ。今日は二人とも夜勤なので……」 一瞬陸の顔が頭をよぎったけど、黙っていた。 「なら、尚更心配だ。真弥ちゃんさえ良ければ、部屋まで送らせてくれないかな」 「…だ、だいじょーぶ……っと、キャッ」 言いかけた瞬間、足が縺れて視界がぐるりと回った。