「…さみっ」 一歩外に出れば、ひんやりと冷たい風が頬をかすめて、俺は思わずマフラーに顔を埋めた。 …アイツ─…真弥は今、何処にいるのかな。 朝早く出かけて行ったけど、寒い思いはしてないだろうか。 ──会いたい。 会って、思いっきり抱きしめたい。 キスがしたい。 お前を──抱きたい。 今まで当たり前のようにしてきた行為が、今では全て夢だったんじゃないかと思うくらい、遠い出来事のように感じる。 真弥は、お前は今、何を想ってる──? こんな俺でも、まだ好きでいてくれるのか…?