「…りっくん。部屋、行こ」 梓が、俺の手を引いて歩き出した。 ゴクッと、唾を飲み込む。 ──とうとうこの日が来たのか。 それなりに、避けてきたつもりだったのに。 「どうしたの?」 「…いや」 覚悟はしていたつもりだった。 だけど梓を前にして、決心が鈍る。 俺は──梓を抱いてしまうのか?