梓の家に通うようになって、もうすぐ2週間が経つ。 どこへ出かけるわけでもなく、ただひたすら、唇を重ねるだけの為に。 なぜって? それが梓の要求だから。 「りっくん…あたしの名前、呼んで?」 今日も梓は、俺を家に迎え入れるなり甘えた声で腕を回してきた。 「……梓」 「ふふ。」 顔を綻ばせ、嬉しそうに首を傾げる梓。 男をよく知ってるな…。 もし俺が普通の男なら、梓に惹かれていたかもしれない。 …普通の、男なら。