…梓と、ヨリを戻す。 それはつまり、真弥との関係を切るということを意味していた。 「…どうする?」 「……」 「って言っても、りっくんに拒否権は無いはずだけどね」 クスッと小さく笑って、梓は俺と肩に手をかけた。 近づいてくる唇。 拒むことは簡単だ。 女の梓が、俺に敵うわけがないんだから。 けど─… 「早く決めないと……んっ!」 言いかけた梓の唇を、無理矢理塞いだ。 ──ごめん、真弥。 俺は弱い人間だから。 他にお前を守る方法が、分からなかったんだ。