「……俺、出かけるから」
「え、ちょっ…陸!」
あたしの制止も聞かず、陸はスタスタと玄関へ向かう。
まるで、この場から逃げるかのように。
「……いいよ、真弥ちゃん」
追いかけようとしたあたしを、梓ちゃんが止めた。
「…でもっ」
「あたしのせいだから」
…──梓ちゃん。
やっぱり、この二人には何かあるんだ。
「何か、あったの?陸と……」
勇気を出して、聞いてみた。
陸に聞くより、梓ちゃんに聞くのが一番だと思ったからだ。
「…そう。昔、ちょっとね」
そう言って、力なく笑う梓ちゃん。
昔……
つまり、陸とつきあっていた時期のことを言ってるんだよね?



