「…それより真弥。あとで数学教えて?」 「…あ、うん。いいけど……」 ──やっぱり、気のせいなんかじゃない。 陸は、わざと梓ちゃんの話題から逃げようとしている。 過去に何か触れられたくないことでもあるの? ──そして。 これが波乱の前触れでもあるかのように、事態は思わぬ方向に動き出していたんだ──……。