「…だ、大丈夫?」
「……」
「…なわけないか」
よほど怖かったのか、後半は一言も声を出さすに、ただ無言で乗っていた陸。
顔面蒼白のまま乗り場を後にして、今に至るわけで。
あたしは、買ってきたオレンジジュースを陸に手渡すと、そのまま隣へ腰を降ろした。
「なんか、ごめんね」
あたしが、ワガママ言ったせいだよね…。
「……真弥は」
「え?」
ハッとして顔を上げると、青白い顔をしながらも、陸の瞳はしっかりとあたしを捕らえていた。
「…真弥は楽しかった?」
「う、うん!」
「なら、いい」
そう言って、微かに口角を上げて微笑む。
……陸。
あんなに怖い思いをしたのに、それでもあたしのことを考えてくれるんだね。
あたしに甘すぎだよ、陸は。
でも、嬉しい…。
あぁ、あたし大事にされてるんだなぁ…って、実感できるもん。



