「ったく、何度も呼んでたのに。早く食べちゃいなさい」 「う、うん……」 静かに椅子を引き、俯いたまま腰を下ろす。 どうしても、隣にいる陸の顔が見れない。 「わ、わぁ、おいしそー」 「そう?ただの食パンじゃない」 わざとらしく明るく振る舞ってみせたものの、完全空回りだ。 「そういえば、陸。あなた、昨日も夜中に帰ってきたでしょう」 「……!」 思わず、手が止まる。 お、お母さん…!? 「……あー。全然記憶ないや」 ……へ?