「どうせなら、それっぽくしたいじゃん?」
ぽかんと口を開けたままのあたしに、陸が言う。
彼の言う“それっぽく”とは、どうやら普通のデートのことを言っているらしい。
「一緒に出かけたらつまんねぇじゃん?時間差で家出て、待ち合わせしよ」
「……陸」
陸は、優しいね。
そうやって、さりげなくあたしの憧れていた“普通の幸せ”を提供しようとしてくれる。
……でもね、陸。
あたしは、陸と一緒ならそれだけでじゅうぶん幸せなんだよ?
「だからさ、めいっぱいお洒落して来てよ」
「……うん!」
せっかく陸が気を遣ってくれたんだもん。
あたしも笑顔で頷いた。
明日はきっと、最高に楽しい一日になる!



