「どこが分かんないの?」 「…ここ」 「どれどれ」 そう言って、参考書を覗きこんだ瞬間だった。 ──チュッ。 「………え」 唇に残る、暖かい感触。 あのー……陸さん? あなた、今…今っ、 キッ……キス、した!? 「……!」 口元を押さえて後ずさるあたしを見て、陸がニヤリと笑う。 「姉貴、隙ありすぎ」 ……な、なんだとー! て、ゆうかさ。 陸ってば、いつの間に不意打ちなんて高度な技を身につけたわけ!? このままじゃ、あたしの心臓がもたないよ……。