あの事件から、一週間という月日が流れた。





 幸いなことに、夏休みということもあり、事件が公に騒がれることはなかった。


 ただそれでも、行方不明になっていたものが、発見されたということでマスコミは殺到した。


 だが、それもほんの一週間ほどのことだった。





 そのすぐ後に、不可解な女性のバラバラ殺人事件が発生したからだ。


 マスコミはすぐさま、その事件のほうを主に扱うようになり、自然と世間の記憶からは、この事件のことは消えていった。





 しかし、世間の記憶から消えたとしても、あの事件がなかったことにはならない。


 和田あゆみが行方不明になっていたという事実は、青涼学園の生徒の中では消せない事実だった。





 当事者であった、内藤明彦は『一陣風霊会』にて、身柄を授かられた。


 共犯と目される山口詠美は拘束されることはなかったが、自ら明彦と同じように『一陣風霊会』へと赴いたのだった。











「な~んか、納得いかないな~…」





 いつものごとく、天文部の部室に集まった綺羅たち四人。


 椅子をカコカコと揺らしながら、慈は不服そうに呟いた。