「沙希ちゃん知らない?」


「お姉ちゃんなら隣だよ」


母がそこまでボケていないことは常々承知している。


それでも、今まで寝ていた私が知るわけがないことも理解してほしい。


「いないから聞いているんじゃない」


未だに夢心地な私を起こすように声を張り上げる。


当然と言えば当然と言える答えにも腹立たしい。


自分で言うのも何なんだけど寝起きはものすごく機嫌が悪い。


だから、姉も父も私を起こすことはない。


と言っても平日は2人よりも早起きだから起こしようがないともいえる。


そんな私の寝起きの悪さを無視してくれるのが今目の前にいる母である。