「美咲」


1階から母が呼ぶ声がして目を覚ます。


いつもより大きな声に、ただ事ではないことは何となく感じていた。


今日は、日曜日。


ゆとり教育を完全に無視したカリキュラム構成の私の高校では、7日に1度やってくる貴重な休み。


ここ最近は文化祭の準備のためその貴重な休みも返上していた。


だから、1ヵ月ぶりくらいの休みを堪能すべく昼過ぎまで寝ているつもりだった。


「美咲」


再び呼ばれて、時計を手繰り寄せる。


短針が『6』、長針が『0』を示す。


遮光カーテンの隙間から旭が入ってきていることを確認できればまぎれもなく朝の6時。