それは俊一が雪依のために描いてくれた絵のスケッチブックだった。


船越は雪依の様子をしばらく黙って見ていた。

「出てって。放っておいて下さい。」


「―情けない奴だな。」
舌打ちをして彼は言った。

「全く成長してないないじゃないか。俺と付き合ってた頃と変わらない。」


「―…」


「自分だけが悲劇のヒロインだと思っているのか。

甘ったれるんじゃねぇよ!」

「人間誰だって生きていれば苦労して生きているんだ!
でも一人で乗り越えて生きていかなきゃいけないんだよ!」


―そんなの、分かってる

出来るなら、強くなってるよ。