「指、どうしたの?先生」真理が聞いた。 レッスンのバイトはまだ続けていた。 「大丈夫。ちょっと切っただけだから。」 本当は奇妙な手紙にカミソリが入っていた。 「お兄ちゃん、見たらきっと凄く心配するよ。だって先生のことばっかり話してるんだもん。」 「おい!真理!余計なこと言うなよ!」 玄関から俊一の声がした。「今日も早かったね、お兄ちゃん」真理は言った。 この家族といると、すごく楽しく、安心出来たが 、雪依から見るとどこか現実味が沸かなかった。