綾瀬陽奈子に連れられて駅前の公園のベンチに並んで座る。

「なんでわかったの?私が服部スキだって…」


そう聞いてきた。

そんなのは見てればわかる。
相手があいつらだから気付かれなかっただけだ。


「なんか寂しそうな顔してたじゃん」

かなりあからさまにね。


「告らなかったの?」
んなわけねーよな。

やっぱり、下を向いて黙った。



「修旅で告ろうとしたけど、服部君に先こされちゃった…」


と言った途端、綾瀬陽奈子の目から大粒の涙がポタリと
膝の上で握り締めた拳の上に落ちた。



そして、張り詰めていた糸が切れたかのようにわーわーと泣き出した。


いつもなら
『ウザイ…』
と思う俺だが、

こいつの涙だけは違った。



見ていて
『守ってあげたい』


そう思える涙だった。