「ん~考えてないけど…」

やっぱり…。

「就職しないの?考えてないの?」

「う~ん…専業主婦とか?」

俺は少しきつめの口調で聞いたが、千景はふざけた感じで笑いながら答えた。

「馬鹿じゃねえの?」

「だってあたし女だし。ねぇ…じゃああたしが勝手に仕事辞めたらどうする?」

「え~?まぁできれば辞める前に相談してほしいかな。ちかがやりたいことあったりとか、ちゃんと将来のこと考えてる…例えばちゃんと生活していくだけの貯金があるとか、資格とろうとかいうなら賛成だけど。」

「ふ~ん…じゃあさ、紘平は将来のことちゃんと考えてるの?」

「えっ?俺?」

「そう。」

「俺は…考えてるよ。」

「何?その紘平がいう“将来”って何なの?」

「それは…」

「何?言えないの?」

「違うって。あんま感情的になるなよ。武蔵がびっくりする。」

「今は武蔵は関係ないでしょ?」