自慢じゃないけど俺はそういう事にはめっぽううとくて、小学校の保健の授業でそういう話を聞いた時も全く意味がわからなかった。
まぁ小学校の保健の授業なんて、そういう行為をやたら美化して、大人たちの都合のいいように説明しただけのもんだ。

中学に上がって、初めて剣道部の先輩から見せられたそういう類のビデオで、やっと男女が愛する行為について知った。
それからも別にそういうビデオや本を見たいとかってのはほとんど思ったりしなかった。

俺はそれが“愛”ってことよりも、むしろグロテスクな行為で単なる男性に対する快楽を提供する娯楽のようなものにしか思えなかった。

いつかもし自分がこんな事をするのかと思うと、気持ち悪くて仕方なかった。

でも、いざ自分がその立場になった時。
曖昧な知識しかなかったのに、自然と求めてしまった。
もちろんそれは千景に限ったことで、人間ってのは本能がきちんと兼ね備えられているんだなとしみじみ実感してしまった。
俺は絶対にテンパると思っていたから。


それから10年。
やっぱり、千景以外の女性とそういうことになるってのは考えられないし、そんな事するくらいなら死んだ方がマシだ。
千景以外としなくちゃいけないなんて、一生童貞で構わない。