「そんなの…哀しすぎるよ。前世では茜さんが晃さんの運命の女性だったんでしょう? それなのにどうしてこんなに哀しい別れ方をしなくちゃいけないの?」
『逃げてしまったからよ』
「え?」
『私達が運命に立ち向かっていれば、もしかしたら結ばれていたかもしれないわ。たとえ結ばれずに人生を終えたとしても、生まれ変わった次の世できっと幸せになれたと思う。
でもあの時の私達は自分達の立場も重責も忘れ、二人が幸せになる道を優先してしまったのよ』
「…でも…重罪を犯したのは晃さんも同じでしょう? なのに晃さんにだけ私が運命の女性として存在している。茜さんは独りなのに…っ…そんなのって、茜さんが可哀想だよ。酷すぎるよ」
『転生をすれば必ず運命の相手が決められる。存在に気づくかどうか、出逢えるかどうかは別として、全ての人にね。私がもしも転生を拒まず生まれ変わっていたら…きっと新しい運命の相手に出逢えていたでしょうね。でも私はそれを望まなかったの』
「晃さんだって同じ事を望んだかもしれないわ」
『ダメよ。…晃は現世でも来世でも成すべき役割を与えられているの。彼が天命から逃げることは再び罪を犯すのと同じこと。一度自ら命を絶った彼は今度こそ輪廻の輪から外されてしまう。そんな事させられないわ』
「……晃さんの天命って何? そんなに大切なことなの?」
『それはいつか晃が自分で気付くでしょう。…これから彼と共に生きるあなたは、まだそれを知るべきじゃない。だけどきっと晃ならやり遂げられるわ。陽歌ちゃん、これからはあなたが彼を支えてあげてね。…決して私達のように運命から逃げて過ちを犯さないで。そうすれば引き裂かれる事なく何度でも生まれ変わって巡り逢えるわ』
「私じゃダメ。茜さんじゃなくちゃ…。私の想いは茜さんには叶わないもの。晃さんには茜さんが必要なのよ」



