陽歌に告白しつつも他の女性と遊んでいるという噂は後を絶たず、必然的にそれは陽歌の耳にも入る。

陽歌にとって浮気な男は恋愛対象外だ。誠意の無い男と付き合うつもりは微塵にもないという事は何度も拓巳に継げている。

だが拓巳は強引で、断っても断ってもへこたれず、何度も誘ってくるのだ。

自分に自信がある為、いつまでも首を縦にふらない陽歌に対して意地になっているか、断っている事に気付かない鈍感男であるかのどちらかだと陽歌は思っていた。

何を考えているか解らない、ちょっと女にだらしないいい加減なヤツだが、決して性格は悪くない。

仕事は出来るし、気が利くし、社交的で誰にでも愛想よく、周囲を明るくするムードメーカーでもある。

女癖が悪くなければ本当にイイ男だし、友人としては最高に良いヤツだと陽歌も認めてはいるのだ。

実際に入社して6年、月に一度のペースで告白されるという恒例行事さえ無ければ、拓巳とは良い友人であり続けていると思う。

陽歌の親友の細河亜里沙と拓巳は、入社当時から気が合うらしく、互いを親友だと言ってしょっちゅう行動を共にしていた。その為、陽歌も含んで三人で食事へ行ったり遊んだりと、一緒に行動することがやたらと多いのだ。