落とすと決めたらボサボサしてる暇はない。


さっそく接近開始!


「み、な、か、み」


席に座って外を眺めていたところに近付いて、ポンッと優しく肩を叩いた。


それだけなのに、びくりと体を跳ね上がらせる。


そんな驚いた顔も可愛い!


「え……?
何で私の名前……」

「名前?
ああ、何で知ってんのかって?
友達から聞いたから。
水上梨華っていうんだろ?」


最上級の笑顔でニコッと笑いかけてみるけど、赤くなるどころか、こいつの表情はみるみるうちに曇っていく。


「あの……あなた、誰ですか……?」


……え?


え、え───ッ!?


俺のこと知らねーの!?


校内1容姿端麗で!


校内1頭脳明晰の俺を!


知らないとか冗談だろ!?


校内で俺のこと知らない奴はいない、って思ってた俺は完全に度肝を抜かれた。


「み、宮本瑞希っていうんだけど……知らない?」

「……あの、私たち初対面ですよね?」

「え、まあ、そう……かな?」


さっきリップ拾った時に対面はしてるんだけど……まあ、自己紹介はまだだったから、これが初対面か?


つーか、さっきリップ拾ってやったこと忘れたのかよ。


「あの……じゃあ、知らなくて当然だと思うんですけど……」


いや、ごもっともだけど!