途中タンポポを1輪摘んで、いざ学校へ。


教室のドアを勢い良く開けた。


「……いた」


窓際1番前の席。


今日も窓の方に顔を向けたまま、アイツはしとやかに座っていた。


その可憐な姿に見とれること30秒。


おっと……いけね。


俺はゆっくり水上の元に近付いた。


「水上ってさー、血液型何型?」

「!?」


いきなり声をかけられてめちゃくちゃ驚いたのか、水上は大きい目を更に大きくしてこっちを向いた。


今日も可愛いぜ、俺の水上(にする予定)。


「宮本……くん……?」

「あはっ、正解~」


俺は水上の鼻先でタンポポをゆらゆらと揺らした。


「タンポポ……?」

「やっぱり匂いで分かってたんだな」


俺は水上の手にタンポポを握らせた。


「俺、今日初めてタンポポの匂い嗅いでみたぜ。
ふわふわしたいい匂いだな」

「宮本くん」

「?」


水上が怒ったような表情を浮かべて俺を見上げている。


え……もしかして……。


やっぱり昨日のこと怒ってる……?


「もう私に関わらないで」とかくるわけ?


水上は膨らました頬をパフンと破裂させた。


「朝はまず“おはよう”でしょ?」


え……?


あ……ああ、そっか。


「お、おはよう、水上」


すると水上はニコッと笑った。


「おはよ、宮本くん」