毎晩、夢のなかでだけ会える男の子。 顔はぼんやりして見えないけれど、優しくて、面白くて、私はいつしか夢のなかの彼に恋をしていた。 「いつか現実でも会えたらいいのにね」と夢の中で言うと、彼は「きっと会えるよ」と笑った。 翌朝、寝坊して慌てて飛び乗った電車。 急ブレーキでよろけた私を、近くにいた男の人がパッと支えてくれた。 「大丈夫ですか?」 その声を聞いた瞬間、私の心臓が跳ね上がった。 顔を見上げると、彼も同じように目を見開いて私を見ていた。 夢のなかの、あの温かい声だった。