君の名前しか知らない僕

俺は普段からSNSを見ていた。すると、同じ景色の写真ばかり投稿している人が一人いた。

「晴人。また、SNSみてるのか?」

「うん。ゆきのんっていう人がいるんだけど、いつも同じ景色ばかり投稿しているから気になってさ」

「そうなんだな。早く行かないと遅刻するぞ」

「うん」

晴人はゆきのんのSNSが気になり、その場でフォローといいねを押した。

「あれ、晴人さんからフォローされてる。いいねも押してくれてる。嬉しいな。私もフォロー返そう」

晴人は知らなかった。このSNSをきっかけに、ゆきのんとの運命が動き始めることを……。

晴人は今日から友達と一緒に2年生になった。

「今日から二年生か」

「うん。また一年お前と同じクラスかよ」

「いいじゃん。この学校はクラス替えないんだから」

この学校はクラス替えがないため、進級してもクラスのメンバーは変わらない。みんなは慣れ親しんだ教室で、新しい一年を迎えることになった。

「確かにな。新しい人がいると、なに話せばいいかわからないしな」

「そうだな。だけど新しい友達も出来るっていい事だと思うぞ」

「まあ、そうだな」

晴人は教室に入った。

晴人の席は教室の左端だった。

「俺の席はここか」 

友達とは席が離れてしまったが、周りには一年生の頃から知っている人が多かった。

9時になると、先生が教室に入ってきた。

「今日は午前中で終わりだからな。この後はみんな体育館に集合な」

ホームルームが終わると、クラス全員で体育館に向かった。

そして校長先生の話が始まった。

「一年生の皆さん、入学おめでとうございます。二年生、三年生の皆さんは進級おめでとうございます。今年も楽しい一年を過ごしてください」

校長先生の話が終わった。教室に戻ると、机の上には新しい教科書が置かれていた。

「教科書持って帰らないといけないのか。めんどくさいな」

晴人はめんどくさそうにしていた。

携帯の通知音が鳴った。晴人は携帯を取り出した。

「ピコン!」

「なんだ」

SNSを見ると、ゆきのんからフォローが返ってきていた。

「ゆきのんさんからフォローが返ってきたんだな」

それだけを見て携帯を閉じた。

そして、学校がお昼前に終わった。

「晴人、お昼どこかで食べて帰らないか?」

「いいね。どこ行くんだ?」

二人はデパートのフードコートに向かうことにした。そこまでは電車で行く必要があり、歩くとかなり時間がかかる。

晴人は友達と一緒に駅まで向かった。

駅に着くと、ICカードを使って改札を通った。

少しだけ電車を待った。
晴人はまた携帯をいじった。

「晴人携帯いじって楽しいのか?」

「うん。待っている間にゲームもできるし、SNSも見られるからいいんだよ」

「確かにそうだよなぁ」

「うん」

電車が来たので、二人は乗り込んだ。
電車の中は、ほかの学生たちでいっぱいだった。

「やっぱり人多いな」

「うん」

電車が到着すると、二人は降りた。そこから少し歩くと、目的地のデパートに着いた。

フードコートは2階だった。
2人はエスカレーターに乗ってフードコートに行った。

「お腹空いた。何を食べるんだ?」

「やっぱり、バーガーだな」

「やっぱりそうだよな」

「うん。美味しいからな。肉もいいけどチーズもありだしな」

「そうだな。種類がいっぱいあって決められないな」

ハンバーガー店のメニューを見て、二人はそれぞれセットを注文した。

二人は空いている席に座って食べることにした。

「この後どうする?」

「そうだな。そのまま帰る」

「おい。早くねえか。少しは考えろよ」

「やだよ。めんどくさいし」

「いいから。遊ぶぞ」

「わかったよ」

晴人は渋々返事をした。

「じゃ、本屋行きたいかな」

「本屋か、わかった」

二人はご飯を食べ終えると、本屋に向かった。

「晴人は本好きなのか?」

「うん。本を読んでいると、時間を忘れられるから」

「そうなのかな」

「うん」

晴人は本を買うか迷っていた。

お昼ご飯でお金を使ってしまい、財布の中にはほとんど残っていなかった。


「今日は諦めるか」

「晴人、いいのあったか?」

「いいや。お金ないから諦めた」

「そうか」

「うん。俺は金ないから帰るか」

「おい。待って晴人」

晴人は家に帰ることにした。

晴人が家に帰る頃には、すっかり夕方になっていた。

「ただいま」

「お帰り」

「今日の学校はどうだった?」

「いつもと変わらないよ」

晴人は自分の部屋に行った。
そして携帯をいじった。

晴人は興味本位で、ゆきのんにコメントを送ってみた。

『こんばんは。綺麗な景色ですね』

晴人はコメントを送ると、SNSを閉じた。

下から母親の呼ぶ声が聞こえた。

「晴人ご飯出来たわよ」

「わかった。今から行く」

晴人は携帯を自分の部屋に置いて下に降りた。

「いただきます」

晴人はご飯を食べる。

「今日のご飯はどう?美味しい?」

「うん。美味しい」

「良かった」

ゆきのんは、携帯を開いた。

「あれ、晴人さんからコメントきてる」

コメントを読んだゆきのんは、返信するべきか考えていた。

「どうしよう。返した方がいいのかな」

少し悩んだ末、返信することにした。

『こんばんは。いい景色でしょ。私、この景色すきなんだ』

ゆきのんは晴人に返事をして携帯を閉じた。