恋なんてしません(仮)―――多分。


授業が終わり、みんなが一斉に購買に行く。
「あ」
僕は遅れたため、多分買えないだろう。
とほほ、と僕は、昼ごはん抜きが確定した。
くう。自販機アイスで我慢か。
そんなとき、横に一つの影が見えた。
また千草か、と僕は振り向く。
「え」
「やっほ〜、紫鶴くん」
その影の正体は、十六夜有栖だった。
「あ、十六夜さん」
「えー、幼馴染なんだし、昔みたいに有栖ちゃんって言ってよ」
いえ、滅相もないです。
てか、幼馴染?そうだっけ。
「いや、大丈夫、十六夜さんでいいです⋯」
そんじゃないと僕も生きてられないし社会的にも怒られるので。
「そーお?」
ちょっと座ろー、と、十六夜さんは、如月さんの椅子に座る。二人は親友らしい。
「紫鶴くんはご飯なし?」
「はい、そうです」
「せめてタメ口で話そうよ〜」
「⋯うん」
ねえ、これって、ファンミにくるファンと同じ感覚かな?
もしこういう気持ちなのなら、僕も目一杯尊重したい。
ああそう、推しとタメ口で話せるみたいな。
最も、僕だったら、推しにタメ口なんか使えませんが。
「じゃあさ、私さ、サンドイッチつくってきたんだ、一緒に食べない〜?」
「⋯え」
これはなんですか、一種の二択問題ですか。
難しすぎるだろ。
「⋯いや、いいよ」
「遠慮しないでよ〜」
なんか本格的な編まれたバスケットを取り出し、十六夜さんはそれを開けた。
「わあ」
ハムとチーズに、ベーシックなベーコン、レタス、トマトのサンドイッチとか、あとフルーツサンド。
「⋯めっちゃうまそう」
あ、ヤバ、本音が出た。
「でしょ、ちょっと楽しくって作りすぎたから、一緒に食べてくれないかな」
これ、しょうがないで終わらせていいものなのかな。
これをしょうがないからと思って食べるか、拒否るか。
かーなーり、難問であります。