恋なんてしません(仮)―――多分。


「あ、あ〜、色をまとめているのがいいと思うよ、あと、そのローマ字の印字とか⋯引き立ってると思います⋯」
最後の方は敬語になっちゃった。うーん、口からでまかせ、語彙力でなんとかなれ⋯。
そう願っていると、十六夜さんが嬉しそうに声を上げた。
「え⋯そうかなっ」
予想外の反応に、僕は大きくのけぞる。
「え、うん」
「そんな、褒めなくてもいいのにぃ」
あははと照れるように頬を染める十六夜さん。
あ、これでよかったんだ。
これで、これでこれでこれで、大丈夫だったんだ⋯。
話がつながったことに、僕は安心して、十六夜さんをもう一度見た。
(⋯なんか、スタイルっていうのかな。良くないか)
まるで人形みたいな感じのスタイル。
うーん、くびれがね。はは。
そう、それはもう、うちの事務所の女子も敵わないくらいの。
⋯って言ったら、事務所内の女子とかに怒られそうな気がするんで、撤回。
⋯髪もツヤツヤで、キューティクルが傷んでる様子とかまったくない。
あ、そういや十六夜さんはロシアンハーフらしく、少し髪が茶髪と言うか、暗い金髪なのである。
それもまた良くて、男子からモテモテなのであります。
いやはや、良い。
⋯なんて、なんて、こんな語ったらキモオタになってしまうではないか。
僕は首を横に振ってから、もう一度十六夜さんを見たのだった。