キスするくせに、彼氏じゃない。

月曜日の朝、私は家を五分早く出た。

 

特に理由はない。

いつもの電車は混むし、駅の階段を急いで上がるのも嫌だったから。

 

そう思いながらホームへ出て、いつもと同じ場所に立つ。

 

電車が来るまで、あと三分。

私は鞄の外側のポケットを確かめた。

定期券。

スマートフォン。

返してもらったハンカチ。

 

ハンカチを持っているかなんて、普段は気にしたことがなかった。

 

「白石」