キスするくせに、彼氏じゃない。

瀬川くんは昇降口の端にいた。

 

壁にもたれ、片手で本を開いている。

私が近づくと、指をページに挟んだまま顔を上げた。

 

「忘れ物?」

「……違う」

 

彼は本を閉じた。

 

「帰れる?」

 

私はうなずいた。