キスするくせに、彼氏じゃない。

「わかってたなら、先に言って」

「言ったけど」

 

言っていた。

何も返せなくなって、私は窓へ目を向けた。

暗いガラスに、彼の肩と自分の顔が映っている。

 

近いけれど、それどころではなかった。

次の揺れで足を踏まないようにすることと、鞄を人にぶつけないことで頭がいっぱいだった。

 

次の駅で、さらに人が乗ってきた。

彼の身体が近づく。

私は反射的に肩を縮めた。