キスするくせに、彼氏じゃない。

「踏んでいいよ、コピーだから」

 

顔を上げた男子が笑った。

 

知らない人だった。

ネクタイの色が違う。

三年生だ。

 

私は拾った紙を重ね、彼のところへ持っていった。

 

「どうぞ」

「助かった。ありがと」

 

受け取る手つきが自然だった。

顔を見たあと、じっと見続けることもない。

彼は紙の隅をそろえながら、自分の足元に落ちた残りを拾った。

 

私は近くにあった一枚にも手を伸ばす。

 

「それで最後かな」

 

二人で廊下を見る。

少し離れた壁際に、もう一枚あった。

 

先輩が苦笑した。