キスするくせに、彼氏じゃない。

五時間目が終わる頃、先生に職員室へ来るよう言われた。

 

学級日誌の記入漏れだった。

日直の仕事を終えたつもりでいた私は、教卓に置いた日誌を抱えて教室を出た。

 

階段を下り、渡り廊下を曲がる。

職員室の手前で、紙が床を滑ってきた。

 

一枚。

そのあとを追うように、もう二枚。

 

私は足元の一枚を拾った。

 

「ごめん、それ取ってもらっていい?」

 

少し先で、男子がしゃがんでいた。

足元に何枚もの紙が散らばっている。

開いた窓から風が入り、また一枚が動いた。

 

私はそれを靴先で押さえかけて、慌てて手で取った。