キスするくせに、彼氏じゃない。

「俺の腕つかんどけ」

 

私は顔を上げた。

 

「倒れるよりいいだろ」

 

確かにそうだった。

遠慮して転んだら、周りの人まで巻き込んでしまう。

私は制服の袖をつまんだ。

 

彼がそこを見る。

「それ、意味ある?」

「あると思う」

 

言い終わる前に車体が揺れた。

袖をつまんでいた指が滑り、とっさに彼の腕をつかむ。

 

「……そっちのほうがあるな」

 

顔が熱くなった。