キスするくせに、彼氏じゃない。

「じゃあ、そのときは」

 

本気なのか、適当に合わせたのかわからない。

 

でも、断られなかった。

 

私は定期券を出し、改札へ向き直る。

隣で、律も鞄から定期券を出した。

 

並んで改札を通る。

ホームへ続く階段の途中で、今朝までなら気にしていたはずのことに気づいた。

 

誰かが見ているかもしれない。

 

それでも私は、彼から離れなかった。