キスするくせに、彼氏じゃない。

半歩だけ近づいた。

制服の袖が触れる。

 

律は何も言わずに歩き出した。

私もその歩幅に合わせる。

 

雨の日の道は、狭かった。

水たまりを避けるたびに、肩が触れる。

私は前を向いたまま、鞄の持ち手を握っていた。

 

「……瀬川くん」

 

呼ぶと、彼が少しこちらを向いた。

 

名前を口にするのは、初めてだった。

 

「どうして、普通なの」

「何が」

 

うまく説明できない。