キスするくせに、彼氏じゃない。

傘の中は、思ったより狭かった。

 

腕を引いて歩く。

近づきすぎないようにすると、左肩に雨が当たった。

 

「白石」

「何」

「そこ、濡れてる」

「少しくらい平気」

 

律の足が止まった。

私も立ち止まる。

 

彼は傘を、もう少し私のほうへ傾けた。

そのぶん、彼の右肩が外に出る。

 

「そっちが濡れる」

「じゃあ寄って」

 

私は傘の柄を見る。

彼の手。

そのすぐ横に、自分の肩がある。