キスするくせに、彼氏じゃない。

顔を上げる。

彼はもう外へ一歩出ていた。

傘を差したまま、こちらを見ている。

 

「……いいの?」

「よくなかったら言わない」

 

足が動かない。

昇降口の奥で、何人かが話していた。

こちらを見る人がいるかもしれない。

また一緒にいた、と言われるかもしれない。

 

律は急かさなかった。

ただ傘を持ち、雨の中で待っていた。