キスするくせに、彼氏じゃない。

彼の手のひらが、私の頭と木の角の間にある。

 

「……危なかった」

「見てから立てよ」

 

私は頭を引き、今度こそゆっくり立ち上がった。

律の手が離れる。

触れていたところが、なぜかまだわかる気がした。

 

「助けてもらってばっかり」

 

ボールを胸の前で抱える。

 

律は床についた手の埃を払った。

 

「今日は二回」

「数えなくていい」

 

彼が少し笑った。

 

私はボールへ目を落とす。

さっきまで普通だった呼吸が、少しだけ落ち着かない。

 

「白石さん、それこっち!」

 

離れたところから呼ばれた。