キスするくせに、彼氏じゃない。

体育の終わりに、ボールが一つ足りなくなった。

 

「舞台の下、入ってないか?」

 

先生に言われ、近くにいた私は舞台の縁へしゃがんだ。

暗い隙間をのぞく。

奥に、白と青が見えた。

 

「あった」

 

手を伸ばす。

指先がボールに当たったけれど、押してしまった。

余計に奥へ転がっていく。

 

……最悪。

 

私は床に片手をつき、もう少し身をかがめた。

 

「取れそう?」

 

上から声がした。

見上げると、律が立っていた。

 

「たぶん」

「また、たぶん」

 

この人は、私の曖昧な返事をよく覚えている。

 

「あとちょっとなんだけど」

 

もう一度手を伸ばしかけると、彼が隣にしゃがんだ。