キスするくせに、彼氏じゃない。

瀬川律。

 

名前を知った途端、知らなかった頃より見かけるようになった。

 

朝、昇降口で靴を履き替えている後ろ姿。

昼休み、渡り廊下の窓際で本を読んでいる横顔。

放課後、男子に肩を組まれ、面倒そうにその腕を外しているところ。

 

今までだって、同じ学校にいたのに。

 

「白石さん、次、体育館だよ」

 

教室を出かけた男子に声をかけられ、私は机の上の教科書を見た。

 

「あ、うん。ありがとう」