キスするくせに、彼氏じゃない。

踊り場の声が聞こえなくなった頃、口が勝手に動いた。

 

「……自分で説明すればよかったのに」

 

律が振り向く。

 

「白石の意見も書いてあるだろ」

 

それだけ言って、また前を向いた。

 

私は手元のプリントを見る。

 

二人分の名前。

二人で考えた、短い文章。

 

ただそれだけのことなのに。

鞄へしまうとき、角が折れないように、いつもより丁寧に入れた。