キスするくせに、彼氏じゃない。

私は鞄からプリントを出した。

女子二人の前に差し出す。

 

「あ、ありがとう」

 

返ってきた声は、少し意外そうだった。

 

二人が文字を読んでいる間、私はプリントの端を持っていた。

隣には律がいる。

先に行くでも、私を置いて話を続けるでもなく。

 

「へえ。そういう考え方もあるんだね」

 

紙を返される。

私は小さくうなずいた。

 

律が先に階段を下りた。

私も続く。