キスするくせに、彼氏じゃない。

笑うところではない。

痛かっただろうし、傷だってある。

でも、猫に近づいて引っかかれている瀬川くんを想像すると、どうしても少しおかしかった。

 

「何」

「……逃げられたんだ」

「触らせる感じだったのに」

 

声に、ほんの少し不満があった。

 

私はとうとう笑ってしまった。

 

「そういう顔、するんだね」

「猫が?」

「瀬川くんが」

 

彼はこちらを見た。