キスするくせに、彼氏じゃない。

何を話せばいいか。

どんな顔をすればいいか。

考えるだけで、肩が固くなった。

 

「……教室に戻るので」

「そっか」

 

先輩はすぐに手を引いた。

 

「じゃあ、またね」

 

断ったあとに空気が悪くならなかったことに、ほっとした。

 

頭を下げて歩き出す。

背後で、男子の声が聞こえた。

 

「悠真、知り合い?」

「この前、助けてもらった」