キスするくせに、彼氏じゃない。

学校が近づくにつれて、また歩く人が増えてきた。

 

私は無意識に、瀬川くんとの間を空けた。

一歩分。

それくらいなら、不自然ではないはずだった。

 

「白石」

 

名前を呼ばれて、肩が揺れる。

 

「そっち、自転車来る」

 

振り向く前に、制服の袖を軽く引かれた。

私は彼の隣へ戻る。

すぐ横を、自転車が一台通り過ぎた。

 

「……ありがとう」

 

袖から指が離れる。