キスするくせに、彼氏じゃない。

「読み終わったら、貸そうか」

 

思わず顔を上げた。

 

「いいの?」

「読まないなら別に」

「読む」

 

返事が早すぎた。

 

彼がこちらを見て、わずかに口元を緩める。

私は窓へ顔を向けた。

 

「……気になっただけ」

「うん」

 

それ以上、何も言わない。

 

そこが少しだけ、ずるいと思った。

 

*