キスするくせに、彼氏じゃない。

「でも、途中が楽しかったなら、それはなくならないよ」

 

瀬川くんが私を見る。

 

何か変なことを言っただろうか。

 

「最後が嫌でも?」

「うん。読んでるときは楽しかったんだから」

 

彼は表紙へ目を戻した。

親指で本の端をなぞる。

 

「……そういう読み方もあるか」

 

少しだけ嬉しくなった。

私の話を、訂正するでも笑うでもなく、いったん受け取ってくれる。